M-1グランプリ2019優勝のミルクボーイが今後のお笑い界を毒で変えるかも?

お笑い大好きnagashiuchiです。

何を隠そう、若い時は漫才師になりたかった僕です。
インディーズのライブなんかに何度かコンビで出たこともあるくらいです!

そんな僕が見た今回のM-1について。
一言で言うと「感動した!
だってそうじゃないですか!?
初めて決勝進出したコンビが、ポッと出てきたと思うと一気に頂点。
一夜にして人生変わっちゃった。
これぞ僕たちが忘れかけていたM-1の醍醐味。

まさにM-1ドリーム!

というわけで2019年のM-1について、とりわけ優勝したミルクボーイのネタについてあれこれ書いてみたいと思います。

結論から言うと、ミルクボーイは今後のお笑いの流れを変えるかもと感じました。
それくらいインパクトがあり、かつ重要な今回の舞台だったと思います。

それでは詳しくいってみましょう!

優勝はミルクボーイ

さっきも言いましたが、M1グランプリ2019で見事優勝したのは、ミルクボーイでした。
令和最初のチャンピオン、かっこいー!
決勝1回戦では、なんとM-1史上最高得点の681点をたたき出すという偉業も達成。

ほんと、多くの皆さんも感じたと思いますけど、今回のM-1は面白かった。
初めて聞くコンビ名ばかりだったので最初はどうかなと思ってたんですけど、始まってみれば最後まで久しぶりに楽しく見れました。

そうなんです。
正直、M-1っていつも僕は結構中だるみしちゃうんですよね。
極端に好きじゃないタイプのコンビがいたり、おもしろいけどマンネリ化しちゃってるコンビが出てたり。
特に最近は「M-1向け」と言われる傾向に合わせてみんなネタ作ってるもんだから、なーんか勢いに任せた感が強かったり。
そんな風に感じてた人って結構多かったのではないでしょうか?

そこへきて、ミルクボーイ。
落研出身だけあって、なんというかホント「しゃべり」だけで笑いを取るというか、正攻法というか。
松ちゃんも言ってたけど、久々に漫才らしい漫才が出てきたって感じでした。

優勝決定戦に残った「ぺこぱ」というコンビ。
僕はあの時初めて彼らを見たんですが、あのコンビも面白かった。
その面白さというのは、ミルクボーイとは対照的でこれまでの漫才の形を崩した笑い。
松ちゃんのコメントが言い得て妙でしたが、「ノリつっこまないボケ」。
個人的には、ミルクボーイより今でも思い出し笑いしちゃうのはぺこぱのネタだったりします(笑)
まだ全然分かんないけど、あっちの方がバラエティとかでも使いやすそうですよね、キャラが固まってる分。
誰かに振られて「いや、誰がなすびみたいじゃ・・・ないとは言い切れない衣装の色合い」なんて言ってるのが想像できますもん。

ミルクボーイのネタ解説

少し話がそれましたが、今回のテーマであるミルクボーイのネタについて解説したいと思います。

ナイツの塙氏が、確かインディアンスの審査の時だったか(からし蓮根かも?)こんなことを言ってました。

「ミルクボーイもそうでしたけど、とても平和なネタじゃないですか。だから云々・・・」

いやいやいや!

塙氏のコメントはいつも鋭くて深くて、さすが漫才極めた人だなって感心することも多いです。
というか僕自身ナイツの漫才めっちゃ好きです。

でも、コメントの中で何気なく出た「平和なネタ」というワードに対しては、僕はひとつ言わせていただきたいです!

いや、あるいはインディアンスはそうだったのかもしれませんよ?

でも、ミルクボーイのネタ、特にコーンフレークのネタはとても平和だとか言えたもんじゃない!と僕は強く言いたい。

そして冒頭にも書いたように、今後のお笑いの流れをも変えうるものが彼らのネタに隠されていると僕は思っているのもこの点にあります。

ミルクボーイがネタに盛った毒とは

今回のミルクボーイのネタを見て感じた事。

それは、人は何だかんだで「誰かが何かをけなしているのを面白がる生き物だ」ということ。今風にいうとディスるってことですね。
彼らのネタでいうと、ディスられていたのはコーンフレークや最中ということになります。

「いやいや、そこまで言うほどディスってたか!?」と思われる人も、もしかしたらいるかもしれません。

でも、お笑い好きで熱心に見てる人は分かってくれると思うんですが、ある物事に対して悪態をついたりして笑いを取るってこと、最近の漫才コンビのネタ的には結構避けられてきたと思うんですよ。
特に最近は炎上だなんだっつって、コンプライアンス?テレビ的な暗黙の了解?
みたいな感じで、ちょっと萎縮しちゃってたと思うんですよね。
悪口で笑いを取ると叩かれちゃう、みたいな。

人や物に対して攻撃したり、ディスったり、けなしたり、マイナスのことを言ったり。
皮肉ったり、少し悪口を言ってみたり。
そういうことで笑いに変えるっていうのが、ちょっとやりづらくなっていたのではないでしょうか。

それはもちろん、時代の流れってのもあるとは思います。
風潮的にいうと、賑やかで明るく、誰も傷つけない笑いがもてはやされていたというか。
それと同時に漫才全体の流れとしてはより奇抜さが求められ、凝った構成だったり、耳に残るキャッチーなワードだったり、盛り上がる演出だったりに磨きがかかっていました。
それはそれで面白いんだけども。

ただ僕個人的にどっちが好みかというと、やっぱり少し毒がある方が好きなんですよね。
だからこそさっきも上で書いたように、ナイツの漫才みたいに少し毒気がある方が好き。
もちろん、もう少し遡っていうとダウンタウンが大好き。

そういういわゆる「毒」で持って笑いを取るのがメインな時代は、もう終わったのだと思っていました。
好感度を気にして、炎上を恐れて、一部の人たちから叩かれること避けて。
そういう優等生的な笑いの時代なんだと思っていました。

でも、昨日のミルクボーイのコーンフレークネタを見て、もしかしたらあながちそうでもなさそうだと感じたんですよね。

時代はまた変わり、そして巡り巡っていくもの。
そう思わずにはいられないほど、彼らのネタは痛快で心地良い毒がたくさんでした。
彼らの漫才が毒満載だってことに気づいてない人、見事に彼らにやられちゃってますよー(笑)

商品名を堂々と出し、かつディスる度胸

まず衝撃だったのは、コーンフレークという商品名を堂々と出したこと

劇場とかライブでやる分には全然大丈夫なんでしょうけど、テレビ側の人からするとちょっと敏感になりそうなものですよね、こういう商品名が出るネタって。

確か笑い飯の哲夫だったか、彼らのネタで「ブリック」という商品名が出てくる場面があったのですが、テレビでやる前にプロデューサーに「商品名は出さんといてくれ」みたいなことを言われたことがある、みたいなことを言ってたのを覚えています。
(結局彼らはそのまま本番でもブリックって言ってましたがw)

尚、ミルクボーイの他のネタを動画サイトで色々見てみましたが、デカビタ、サイゼなど、見事に商標名が出てくるネタが大半でした(笑)

やっぱりこういうみんなが知ってるモノ、いわゆる「共通項」を突いたネタは、みんな共感して笑いやすくなるんですよね。

「最後ちょっと残す」「コーンフレーク、フルーチェ、ミロはみんな憧れてた」「栄養素の5角形が大きい」みたいな、いわば大勢が感じているであろう「あるある」的な笑いを絡めてくるのだから、その効果は絶大でした。

そして何より、上で言った「人はディスるのを聞くのが根本的に好き」だということ。

「最後まで食べれずちょっと残す」「寝ぼけてる朝やから食べれる」「あの五角形、実は牛乳を合わせた栄養素を書いてる」「最後の晩餐には荷が重すぎる」などなど。

これ、コーンフレーク側からしたらマイナス要素でしかないですからね(笑)
他の動画を見て思いましたが、基本彼らのネタは何かを面白おかしくディスるスタイルです。

でも、僕らはそうやってコーンフレークとかがいじられてるのをすごく面白がってしまう。
多分、そういうのを面白がるのは人間の本能なんじゃないかというくらい、大会でもみんな爆笑してました。

多分、中途半端なコンビだとここまで思い切ったことはできないのではないでしょうか。
たとえ思いついたとしても、普通のコンビだとスポンサーとかテレビ的なことが頭に浮かんで、まずM-1でやるのをためらったり。
もしかすると、ミルクボーイはメディア露出がまだ少なかった分、思い切ったことができたという見方もできますけどね。

ニューヨークと対照的だった、
ディスを笑いに変える抜群のセンス

勘違いしてはいけないのは、なんでもかんでもディスればいいということではないです。

例えば、去年お笑い芸人たちが上沼恵美子(であろう)を動画配信でディスってたのが炎上してましたが、あれが面白いと思う人は少ないでしょう。

他にも、例えば今回の大会にも出ていたニューヨーク。
ネタの中でツッコミの屋敷が

「女子はとりあえず100万回とか歌詞に入れといたら喜ぶねん!」

「ライン既読にならないとか、そういうのに女子は共感するねん!」

なんてつっこむ場面がありましたが、あんまり受けてませんでした。

ああいうの、実は彼らの持ち味なんですよね。
過剰な偏見というか、女子ディスりみたいなので笑いを取るスタイル。
今回はテレビ向けを意識してか、そういう一面を相当薄めて漫才してましたが、本来は毒づいたり皮肉で笑いを取るタイプのコンビなんです。
今回の大会で言えば、彼らの毒は不発に終わっちゃってましたね。

何が言いたいかというと、
そういうちょっとした悪口だったり皮肉ってのは、相当センスがないと爆笑に変えるのは難しいということ。
ミルクボーイの毒は、そのセンスが圧倒的でした。

また、センスだけではなくバランス感覚も重要です。
人がギリギリ不快に思わない、けど確実に鋭くディス。
そしてそれを笑いに持って行く。
客の立場に立って空気を読む力が二人とも並外れたものを持っているのは言うまでもありません。(ネタは二人でつくっているらしいです)

優勝したミルクボーイと、最下位に沈んだニューヨーク。
そういう面でも対照的だったので、すごく興味深かったですねー。

ビジュアルも計算のうち?

とは言え、ニューヨークとミルクボーイ。
点数の差こそ圧倒的でしたが、やはり同じプロなのでスキルとかセンスの差がそこまで致命的かというとそうでもないと思います。

では同じディススタイルでも何が二つのコンビで違いがあるのか。
それは、ミルクボーイ(特に内海)のビジュアル面に秘密が隠されているのでは感じましたね。

何といっても目を引くのは、内海の昭和漫才師のようないでたち。
ああいう、少し時代錯誤的なおっさんのビジュアルにすることで、少々きつい毒で突っ込んでも許され、それどころか笑いやすくなっているのではないかと僕はにらんでいます。

一方、ニューヨークはこう言ってはなんですが、いかにもって感じじゃないですか?
本当の所は分かりませんけど、普段からちょっと女性を見下してそうというか(笑)
ネタで女性を皮肉っても「素」で言ってそうというか・・・。

その点、ミルクボーイ内海のゆるいおっさんビジュアルから毒を発せられても、
それを見る僕らは、何か非現実的なものを見ている気分に無意識になっちゃってるんだと思います。
見る側は「内海」という人として見ているのではなく、あくまで「演者、漫才師」のネタを見ているという気持ちになっているので、少々きついディスりもすんなりと受け入れて笑えるのではないでしょうか。

これをもし計算でやっていたら、見事にその作戦ははまっていますよねー。
大したもんだ!

最後に

少し雑な感じで彼らのネタを解説してきました。
結論は最初にも書いた通り、彼らのネタは今後のM-1をはじめとして、若手漫才の流れを変えうるようなものでした。
それくらい、僕たちが忘れかけていたものを思い出させてくれる痛快さでしたねー。

彼らの優勝で、今後の漫才がどう変わるのか、はたまた変わらないのか、楽しみに注目したいと思います!

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