今から聴く人のためにフィッシュマンズについて主観で解説してみる

nagashiuchiです。

当ブログにお越し頂きありがとうございます!
もしかしてあなたはフィッシュマンズをこれから聴こうとしている人でしょうか。

僕はと言うと、フィッシュマンズ自体を知ってから10年以上経ちます。
ある時からハマってしまいCDとDVDを買い揃え、毎日毎日聴いていました。
今でもたまに無性に聴きたくなって、CDを引っ張り出してきてはその音楽の世界に浸ったりしています。

今回は、少しは聴き込んできた僕が解説・・・っていうと少しおこがましいですが、フィッシュマンズについて知りたい、聴いてみたいって人に向けて、僕が思うことをいろんな角度から書いてみたいと思います!

大げさに崇められるような伝説のバンドではない

まず誤解を恐れずに最初に言いたいのは、フィッシュマンズは伝説的で崇められるべきバンドではありません。
また、そうであってほしくない自分の願望もあったりします。

もしかしたらあなたもどこかの誰かに「フィッシュマンズっていう伝説のバンドがあってだな・・・」なんて紹介をされたことがあるかもしれません。

しかし、聴く前からそういう変なハードルの上げ方をすると、フィッシュマンズの本質とは離れてしまうようにも思います。
大事なものを見落としてしまいそうになる、というか。

なぜこんなこと言うのかというと、フィッシュマンズのボーカル佐藤伸治さんは99年に亡くなっています。
当時のことを知る人に言わせれば、それはかなり衝撃的な出来事だったようです。

佐藤さんが亡くなったということ、そのことが少なからず今のフィッシュマンズのイメージを決定づけているようにも思えてなりません。
なんだろう、妙に神格化されているというか、ちょっと彼らの本質とはずれた受け止め方をされているというか。

「何やらおもしろそうなバンドだなー」くらいに思って聴き始めるのが、肩の力も抜けてよりフィッシュマンズの魅力が伝わるかと思います。

声が忌野清志郎ばりに高い

ボーカルの佐藤氏の声はとても高いです。
デビュー当時はRCサクセションっぽいなんて言われ方もしてたくらい、歌い方も含めてキヨシローみたいです。
(実際にRCサクセションファンがフィッシュマンズの方に流れてきたなんて話も聞いたことがあります)

正直、この高い声がダメな人もいるかもしれません。
「曲はいいんだけど声がちょっとね・・・」みたいな言われ方をしてるのを何度か耳にしたことがあります。

何を隠そう、僕がそうだったんですよね(笑)
どうも最初は違和感があって好きになれなかった・・・んですが、その後見事にハマりアルバムやDVDを買い揃えるまでになりました。

なので最初聴いて「ん?」ってなった人でも、諦めずにしばらく聴いてみてください。
そう。声の高さがどうとか、フィッシュマンズを形作ってる要素からすればほんの一部にすぎません。
声の高さがどうとかで聴かなくなっちゃうなんて、ほんともったいないですよ!

大丈夫、心配いりません。
何度か聴いてるとあなたもきっとドハマりするはずです。
この声じゃなきゃダメなんだ!って気にきっとなるはず。

メンバーチェンジが激しい

後期の3人のイメージが強い彼らですが、当初は5人から始まったのをご存知でしょうか。

よく知られているのはボーカル佐藤、ベース柏原、ドラム茂木の3人ですが、デビュー当時はギターの小嶋、そしてキーボードのハカセが在籍した5人バンドだったんです。

ざっとメンバーの遍歴を書いてみますと、

まずデビューから3枚目のアルバム「Neo Yankees’ Holiday」までは当初の5人でした。
その後、ギターの小嶋が脱退。
小嶋が脱退した翌年、ポリドールへレコード会社を移籍するんですが、その少し後でハカセも脱退。
この時点で、いわゆる後期の3人編成となりました。

少し話は逸れますが、3人になったことで名盤「空中キャンプ」のような名盤が生まれたというのは興味深いところです。
当初の5人だとあの音づくりにはならなかったでしょう。
ケガの功名というか、少人数になったことであの方向に舵をとらざるを得なくなったというか。

それに関連して書いておきたいのは、フィッシュマンズの音作りに多大な影響を与えたと言われる人物がZAKというエンジニア。
「もう一人のメンバー」と言われるくらいにバンドに関わっていた人だったようです。

3人になって後期の名盤を作り上げた彼らですが、実は最後のアルバム「宇宙日本世田谷」の後で柏原も脱退するんですよね。
さらに「もう一人のメンバー」ZAKも離脱。
フィッシュマンズというバンドは、佐藤と茂木の2人になります。

そして、その後すぐに佐藤が急逝。

なので、厳密に言えば最終的にフィッシュマンズのメンバーは茂木1人となってしまいました。

時期によって音楽性が変化している

さて音楽的な話。

バンドってアルバムを出すごとに音楽性が変わる場合がよくあります。
フィッシュマンズも例外ではなく、サウンド面だけでみればどんどん変わっていっています。

アルバムごとにどんな変化があったのか、使用している楽器や機材の違いなど専門的なことは僕には語る事はできません。

あくまで僕がそれぞれのオリジナルアルバムに対して持っている抽象的な印象になりますが、代表的(と勝手に思っている)なアルバムについて軽くふれていきたいと思います。

Chappie, Don’t Cry

記念すべきファーストアルバムです。
もし一言でこのアルバムを言い表してくださいと言われたら、僕なら「かわいい」と答えますね。

「イナゴが飛んでるのさ~」なんて牧歌的の極みのような歌や(イナゴが飛んでる)、
「息も切れそうに走るなら眠ってた方がましよ」なんて言ってみたり、
あげくの果てには「夏がくーればおもいだすー♪」の「夏の思い出」をインストでやってみたり。

そう、とにかく世界観がかわいい。

ボーカルの佐藤氏のルックスもかわいらしい部類なので、当時は女性ファンも多かったようですよ。

でもただかわいいだけじゃなく、その裏にある皮肉とか世の中の真理を突くような部分もあったりして、少しドキリとさせてくれるスパイスがあるのが何ともニクい!
そういうのがフィッシュマンズらしさのひとつなのかなって僕なんかは思ってます。
この辺の要素はきっと後期になってサウンド面が変わっても、恐らくずっと最後まで彼らの核にあった持ち味なのではないでしょうか。

このアルバム、少なくとも後期のような重くてダウナーな感じはほとんどありません。
後期でもライブで演奏されていた「ひこうき」「チャンス」などの代表曲も収録。
全体的にレゲエサウンドを基調に、軽くてポップな曲が揃っています。

Neo Yankees’ Holiday

個人的には初期の一番好きなアルバム。
タイトルのせいもあるかもしれないけど、晴れた休日の昼下がりに聴きたい1枚です。

とは言え、爽やかでポップな曲が並んでいる・・・だけではありません。
全編を通じてサウンドはやはりレゲエのリズムが多い印象。
もしかしたら裏打ちの曲が一番多いアルバムかもしれませんね、数えてないけど。
特筆すべきは、後期のダウナーで浮遊感のあるサウンドの片鱗がすでにこのアルバムでも見て取れることです。

たとえば全キャリアを通じてみても名曲中の名曲といっていい「いかれたBABY」。
印象的なシンセサイザーが、ふと異世界に連れて行ってくれそうな感じ。
眠い時に聴くと多分そのまま寝ちゃうので注意が必要です(笑)

で、僕がなんでこのアルバムが好きなのかと考えると、多分そういうフィッシュマンズの代名詞でもある「浮遊感」と、カラオケでも歌えそうな「ポップさ」のバランスがとてもいいからだと思います。

正直、後から出てくる後期のアルバム(もちろんファンの間では伝説とうたわれている大名盤たち)は本当に聴くときの気分によっては重くなりすぎるんですよね。どうも浸り過ぎちゃって。
少なくとも、晴れた休日の朝に目覚めてすぐ聴きたくなるようなシロモノではない(笑)
週末の深夜に熱いコーヒーを飲みながら、HD650(高級ヘッドホン)でじっと目をつぶって聴きたい。そんな感じなんです。

そういう意味でも、フィッシュマンズ未経験の人に僕が最初に薦めたいのはこのアルバムですかね。

ORANGE

今回解説するアルバムの中では、僕が一番聴き込んでいない作品だと思います。
理由は分かりませんが、多分僕の中でフィッシュマンズに求めるものがこのCDには少し物足りない感があるのかもしれません。
あと、アルバムとしては少しまとまりに欠ける印象があるんですよね。

サウンドの特徴としては、これまで核となっていた「レゲエ」の要素が限定的になっている点です。
というのも、アルバム前半はロックバンド色が強い曲が並んでいます。
ギターのハードな音が強めに出ている「気分」「MELODY」なんかを聴くとまさにギターロックって感じですし、キーボードのハカセ氏のプレイも今まで以上に激しく冴えわたっています。

ところが一転、後半の「帰り道」とかになると、「これ空中キャンプに入ってたっけ??」ってくらいに「あのゆったりとした浮遊感」を持った曲が入ってきます。

僕がこのアルバムを聴き込んでいないのは、どうやらこの辺の事情にも理由がありそうです。
ひとつひとつの曲としては申し分ないんですが、僕のフィッシュマンズの聴き方はアルバム単位で楽しむ傾向が強いんですよね。

なので、このアルバムは曲調があまりにもまとまりがない分、自分の中ではあまり印象のないものになってしまっています。

後半に出てくる「帰り道」「夜の想い」とかの曲たちは、できればもっと煮詰めて聴きたかったと。
逆にこのORANGEでは、前半の「MELODY」「気分」のようなギターロックで埋め尽くしてほしかったかな(なんて贅沢な)。

尚、このアルバムで僕が一番好きな曲は、ライブでも定番となっていた「忘れちゃうひととき」です。

フィッシュマンズの「ロックな面」にうまーく浮遊感を取り入れた大名曲。
リアルタイムでライブで聴いてた人は、本当にその空間が「何もかもを忘れちゃうひととき」になってたんだろうなあ。

空中キャンプ

やっとここまで来ました(笑)

多分、世の中でフィッシュマンズが語られる時にほぼほぼセットで語られる大名盤。
何が名盤なのかはもう聴いてもらうしかないです。

少しヒントを書くとすれば、その音数の少なさにあるかもしれません。
佐藤氏もどこかで話してたんですが、このアルバムでは音数をできるだけ少なくして作るってのがコンセプトのひとつだったみたいです。
音が少ないのに、この世界観を作れるのは単純にすごいと思います。

日本ではアルバムの世界観が統一されていた方が名盤だとされる傾向があると思うんですね。
ヒットシングルばかり集めたベストアルバムが名盤だと言われる事ってほぼないじゃないですか。
そういう意味でいうと、この空中キャンプはサウンドの雰囲気が統一されています。
よく動く低いベース、シンプルなドラムのリズム、そこに乗っかる控えめだけど印象的なストリングス。そして佐藤氏の高い歌声。

収録曲の中では「ナイトクルージング」があまりにも有名ですが、その他の曲たちも相当の粒ぞろい。
というかこのアルバムは、このアルバムこそは、曲単位ではなくひとつの作品として聴くべきだと思います。

だって名盤なんだから!

いろんなバンドからカバーされている

フィッシュマンズの曲はいろんなミュージシャンにカバーされています。

中でも有名なものを一部ご紹介します。

クラムボン「ナイトクルージング」

個人的に一番好きです。
本家のナイトクルージングが夜11時だとしたら、こっちのカバーは夜中の3時くらいでしょうか(なんのこっちゃ)。

テンポもぐっと落とされ、音数も多分少なくなってます。
全編ピアノが鳴っていて、切なさがより増した印象。
クラムボンは女性ボーカルですが、佐藤氏の歌声はもともと高いのでこれといって違和感がありません。
僕は仕事が辛いとき、帰り道の車でこれを聴いてよく泣いてました(笑)
本家よりなんだか泣けてくるんですよね、なんでだろう。
世の中にいろんな曲のいろんなカバーがありますが、この曲は僕の中ではちょっと別格ですね。

YouTubeでライブバージョンが上がってましたので貼っておきます。

曽我部恵一「BABY BLUE」

曽我部さんはサニーデイサービスというバンドをやってる人です。
曲の構成は本家と全然違っていて、ほとんどがアコギとピアノだけ。
なのにこの曲の魅力が十分すぎるほど伝わってきます。
いい曲はギター一本で演ってもやっぱりいいんですよね。
曽我部さんの声も本当に味わい深くて曲にマッチしてます。

UA「頼りない天使」

UAもカバーをしています。
ディープでダウナーな曲も多いUAなので、フィッシュマンズの曲とは好相性。
この動画でのライブは控えめに言ってヤバイです。
ボーカルの出だしから持って行かれちゃいます。

いやしかしカバーにしてはバンドの人たち、めちゃくちゃ雰囲気あるなあ・・・なんてよく見たらfishmansのメンバーじゃないか(笑)
ドラムは茂木氏、ベースは柏原氏その人でした。
てかタイトルにもちゃんと「Fishmans+UA」って書いてますね。

保存できるなら保存しておきたいほどの動画なのでぜひ!

最後に:フィッシュマンズについて改めて書いてみて

とりあえず、まだフィッシュマンズをちゃんと聴いていない人に向けて、ざっと書いてみました。
もちろんブログの記事1つでフィッシュマンズの魅力を伝えられるはずがありませんし、そんなつもりは最初からありません。
今回紹介した動画をなんとなく観てみたり、amazonで他の人のレビューを読んだりするなど、このブログが彼らの音楽にふれるのに少しでも役立てばそれほど嬉しいことはありません!

というか僕自身、この記事を書くにあたって改めて彼らの音楽が好きになりました。

そして今、こう言いたい気持ちでいっぱいです。

やっぱり彼らは伝説や!!

いや、最初と言ってること違いますやん。
そう突っ込まれるのは重々承知です(笑)

でも、それほどまでに彼らの音楽は人の胸を打つ何かがあるんです。

その「何か」がなんなのかは、あなた自身が実際にふれて確かめてみてくださいね。

最後に、僕が大好きな記事をご紹介。

音楽偉人伝 第14回 佐藤伸治(フィッシュマンズ)(前編)
音楽偉人伝 第15回 佐藤伸治(フィッシュマンズ)(後編)
ナタリーさんの「音楽偉人伝」、ここでフィッシュマンズについて書かれています。
そこまで長くはないけれど、彼らの歩みが濃密に凝縮されていて読みごたえがあります。
歴史を追いつつ、彼らの音楽に対する姿勢とか世界観にふれられる良記事なので、ぜひ読んでみてください!