ZOZO離れの原因について解説します
nagashiuchiです。
ちょっと前から「ZOZO離れ」なんて言葉をよく聞くようになりました。
ZOZO離れとは?
みなさんご存知の方も多いとは思いますが、ゾゾに出店しているブランドがZOZOTOWNから抜けたり距離を置くことをZOZO離れと世間では呼んでいます。
ZOZO離れした主なブランドといえば、
・ミキハウス
・ライトオン
・オンワード
大きなところだとこの辺が有名ですね。
ちなみにZOZO離れの話をするときにユナイテッドアローズの名前がよく出てきますが、厳密に言うとZOZOTOWNから離れたわけではないです。
じゃあなんで離れたと言われたかというと、アローズの自社サイトはZOZOの子会社「アラタナ」が開発してたんですよね。
そこから撤退するっていう話。
今後、自社サイトの開発はZOZOには任せない、ってことです。
ZOZOTOWNからユナイテッドアローズの商品がなくなるわけではなく、出店は続けるようです。
でもこれはBtoB(対企業のビジネス)に注力しているZOZOにとって痛手であることは間違いないんですよね。
なんてたってアローズは、ZOZOのBtoB事業における最大のクライアント。
もしかしたらZOZOTOWNから撤退されることより痛かったかも。
ZOZO離れの原因
なぜ最近になってゾゾ離れが増えてきたのか、原因はいろいろあると思いますよ。
離れた各ブランドによってきっかけは違うと思います。
ただ、一番大きなきっかけはやはりZOZOARIGATOのサービス開始ではないでしょうか。
ZOZOは2018年の暮れから新しいサービスを始めました。
その名も「ZOZOARIGATO」。
月額を払えば、全商品が10%引きで買えるというお得なサービスです。
詳しくはこちらでも解説していますので、よければどうぞ。
それではこれがどうしてゾゾ離れのきっかけになったのか。
大きく分けて2つの視点から見ることができます。
1つは「ブランドイメージを守るため」、2つは「自社サイトとの競合」です。
詳しく見ていきましょう。
1.ブランドイメージを守るため
要するにZOZOARIGATOって割引サービスなんですよね。
ミキハウスとかオンワードなどは、本来であれば価格の安さで勝負するブランドではありません。
品質やブランドイメージで売ってるわけなので、あまり「安売りする」ようなイメージはつけられたくないんです。
そこにきて、ZOZOARIGATO。
いや、あれですよ、これの10%引きってのはあくまでZOZOが負担するんですけどね。
出店企業は別に費用的には何も文句はないはずなんです。
でも、ミキハウスとかオンワードなど、価格で勝負してない「お高めのブランド」にとっては例え割引がゾゾの負担だとしても、安売りをあまりしてほしくないのが正直なところ。
消費者からすれば、「安い方が売れやすいのに、別にええやん!」って単純に思うじゃないですか。
そこがブランドの難しいところであり、おもしろいところでもあります。
ただそういう意味でいうと、ライトオンが抜けたのはなんでだろう?と個人的には思いますけどねー。
ライトオンってイオンモールとかのどちらかというとファミリーが集まるショッピングモールに出店しているイメージ。
まあ簡単に言えばリーズナブルなジーンズショップって感じでしょうか。
安売りしたからといって、そこまで傷つけられるブランドイメージってないのでは?(失礼)
なんでも、ライトオンが離れたのはZOZOTOWNだけではないらしいですけどね。
同じタイミングでECモールから撤退しているという話も出ています。
一応、表向きには「ZOZOARIGATOの常時割引が許容できなかった」的なことを言ってますが、もしかしたら他に原因があったのかもしれません。
2.自社サイトとの競合
大きなアパレルブランドは、自社サイトでも商品を販売しています。
当然、ラインナップは基本的にはZOZOに出している商品と同じですし、価格も合わせています。
ただ、ZOZOARIGATOは会員サービスなので、その合わせた価格(一般向け価格)からさらに10%引いた値段で売られるわけです。
少し賢いユーザーなら各サイトの値段を見比べて買ってるので、「ZOZOARIGATOに入会すれば通常より10%安く買えるやんけ!じゃあゾゾで買うか」ってなるのは当然の流れですよね。
「同じ商品がどのサイトから買われようと、自分とこの商品が売れたんだからいいじゃないの?10%OFF負担はゾゾ持ちなんだし」
と思われるかもしれませんが、要するにブランド側からすれば自社サイトの方が利益が取れるんですよね。
ZOZOTOWNは出店するだけで商品価格の30%くらいは持っていかれるとも言われているので、出店しているメーカーからするとどうせ買ってもらえるならゾゾより自社サイトで買ってほしいわけです。
そこへきて、例のZOZOARIGATOの10%引き。
さっきも言った通り自社サイトで売った方が利益が取れるのに、安く売っているZOZOに客を取られると自社サイトで売れなくなりますよね。
これが原因でZOZO離れしたブランドもどうやら多いようです。
安いブランドの増加もZOZO離れが増えたきっかけのひとつ
ZOZOZRIGATO以外では、安いブランドが増えてきたのもZOZO離れの原因となっていると考えられます。
というのも、数年前のZOZOTOWNを知っている人なら分かるかと思いますが、安いブランドってあまりなかったんですよね。
服にこだわりがあまり無い人にとっては、少し敷居の高いイメージがありました。
それがここ数年で一気に様変わり。
楽天で売っているような安売りブランドがランキングを占めるようになりました。
・ARCADE
・REPIDO
・THE CASUAL
・MONO-MART
などなど。
いわゆる「値段だけで勝負しているわけではないブランド」にとって、そういった安売りブランドと一緒に売られるのはできれば避けたいんですよね。
何より嫌なのは、「ZOZOTOWN=安売りのECモール」といったイメージの定着です。
その安売りモールに出店しているということで、ブランドイメージの低下を招く恐れがあります。
そこを懸念してゾゾ離れしていったというのも原因のひとつなのは間違いないです。
ZOZOTOWNはZOZO離れをどう見ているのか?
これについては、繊研新聞に前澤社長のインタビューが載っていたので、一部を引用しながら解説したいと思います。
ちなみに繊研新聞ってのは一般の人にはあまりなじみがないかもしれませんが、アパレル業界では有名な新聞。
アパレル業界の人間たる者、繊研新聞の購読はもはや常識ですね。
僕も一応メーカー側の人間なので、この繊研新聞で業界の動向をチェックしていますよ!
ZOZOARIGATOをスタートさせた真意は?
ゾゾ離れの大きな原因と言われている「ZOZOARIGATO」。
この割引サービスを始めた真意を、前澤社長はこう語っています。
ARIGATOは、百貨店やモールなどでも導入されている類の一般的な会員向けサービスです。
ゾゾタウンでもいつか導入したいと考えてきました。
店頭に劣らないという意味で価格は非常に重要な要素。
会員向け割引サービスを展開するリアルモールに、価格の面で劣っていた点を払拭するために導入しました。
要するに、リアル店舗の方が割引価格で安くなってることが多いので、ネットでもそれに近づけようとしたってことですね。
ZOZO離れについてどう考えているか
それでは、このサービスに対して離れていくブランドがいたことについては前澤社長自身どう考えていたのでしょうか。
ブランドの一部離反は想定していましたが、私的な報道の過熱や、そこに便乗した「ゾゾ離れ」というマイナスワードは想定外。
確かに短期で導入を決め、出店ブランドに導入説明が丁寧でなかったことは素直に反省しています。
確かに、ゾゾ離れしたブランドが言ってたのは「ZOZOARIGATOの導入について説明がほとんどなかった」ってことです。
そこは社長自身も素直に認めているようです。
ZOZOARIGATOを急いだ理由は?
ただし、サービス導入を急いだのにはそれなりの理由があったと言います。
急いだ理由は、約6年前のコーディネートアプリ「ウェア」で商品バーコード読み取り機能に対し、リアルモールの反発があった経験から。
時間をかけて説明しても、利害の壁は越えられない。
行動あるのみ。融和は難しいです。
「WEAR」はショップの店員さんなどがコーディネートをアップするアプリ。
ゾゾと連動しているので、いいなと思った商品をそのまま購入することも可能な便利なサービスです。
そのアプリで過去にバーコードスキャン機能というのがありました。
店頭の商品についているバーコードを読み取るだけで、その商品の情報やコーディネートをその場で見られるサービスです。(現在は廃止)
ユーザーからすると、店頭で気に入った商品があればその場でコーディネート例などが見られるので便利でした。
しかし店舗からすれば、スマホからそのままZOZOTOWNで購入されるきっかけにもなるので、やはり抵抗するブランドが多かったようで、結果として広まらずこの機能は廃止することに。
そのことがあったので、前澤社長は今回のZOZOARIGATO導入するにあたって、分かってもらえるまで説得するのではなく、半ば強引に進めたということです。
ZOZO離れへの対策は?
ZOZOTOWNから離れていくのをただ見ているだけなのかというとそうではなく、それなりに対策はしているようです。
価格表示パターン選択機能を追加して以降、出品停止だったブランドの再開や、ベイクルーズさんのように実店舗の商品とは競合しないゾゾタウン別注商品を展開しようという動向もあり、信用・信頼は取り戻しつつあります。
「価格表示パターン選択機能」というのは、サービス開始当初はZOZOARIGATOの割引価格が必ず表示されてたんですよね。
それを店側が表示か非表示かを選べるようにしたということです。
確かに、サービスが開始された頃の価格表示はどの店も二重価格になっていました。
それだとやっぱりセールで値下げしている感じが強調されるので、上でお話しした「価格を売りにしていないブランド」にとっては不本意なものだったにちがいありません。
そしてそれを修正することで、出品を見合わせていたブランドが出品再開したり、競合しないゾゾ専用商品の展開など、信用は回復しつつあるというのが社長の見立てのようです。
最後に
今回はZOZO離れの原因についてお話ししてきました。
最新の前澤社長へのインタビューも引用したので、それなりに「ゾゾタウンのいま」をお伝えすることができたかなと思います。
僕個人的には、ゾゾタウンや前澤社長の考えには賛同する部分も多いので、これからも頑張ってほしいと思っています!